妊娠初期に頻尿で悩まされる人は多く、半数以上の妊婦さんが頻尿気味になったと感じ、変わらないと答えた人は4人に1人以下となりました。ではなぜ頻尿になるのか、頻尿になった場合の注意点、また頻尿対策などを考えてみたいと思います。
妊娠初期の頻尿の原因には、大きく分けて2つ、理由があります。まず1つ目は骨盤の中で子宮が大きくなり、隣接する尿路や膀胱を圧迫するからです。赤ちゃんの成長と共に子宮が大きくなると、その影響で隣接する膀胱に水分を貯蓄する場所がなくなってきます。そのために頻繁に尿意を感じてしまうのです。
そしてもう1つの原因は、妊娠により体内の水分が増えるために腎臓の機能が高まるということです。腎臓の血流量が増加して代謝がよくなるために老廃物(おしっこ)を排出しようとする循環が今までよりも早くなります。
妊娠中の頻尿における最大の注意点は「膀胱炎」や「腎盂腎炎」などの泌尿器系トラブルを引き起こさないようにするということです。炎症を起こさないために、面倒だからといってトイレを我慢してはいけません。そして万が一、排尿時に痛みを伴う場合は、一刻も早く医師に相談することをお勧めします。
自分でできる頻尿対策は、残念ながらそれほど多くはありません。排尿時の終わりに前かがみになると、いつもよりも少し多めにおしっこが出て、膀胱を空にできるかもしれません。夜寝る前に水分を控えめにすることもポイントの1つでしょう。
妊娠初期の頻尿は、妊娠4ヶ月ごろになると子宮がおなかのほうに上がってくるために、膀胱の圧迫感が薄れて軽減されます。また妊娠週が進むにつれて、活発だった腎臓機能も排泄の低下傾向に変わるために、頻尿から開放されることがあるでしょう。
しかし妊娠後期(36週以降)になると胎児が骨盤内に下がるため、かなり高頻度(85%以上)で、再び不快症状として頻尿を感じるようです。双子などの多胎妊娠の人は、全妊娠中の期間を通して頻尿を感じやすいことも付け加えておきます。