←こんな基礎体温表を簡単に作成。自分の基礎体温と妊娠した人たちとのシンクロ検索が可能
「不妊症」は女性にばかり原因があるように思われがちですが、決してそうではなく、男性に原因があることも半数近く(30~40%程度)もあるのです。妊娠は男性の精子と女性の卵子が1つになることでスタートするのですから、男性に不妊原因があったって何ら不思議なことではないのです。
精液検査とはその名の通り、男性の精子の状態を調べる検査です。精子は体外に射精されますので、女性と比べるとその検査は至ってシンプルで、肉体的な苦痛はほとんどないと言っていいでしょう。
精液検査には「一般精液検査」と呼ばれるものと、さらに詳しく調べる「特殊な精液検査」があります。一般精液検査では「精子濃度」「運動数」「精子奇形率」「白血球数」などを調べますが、これらについては以下の表を参考にしてください。
もう1つの特殊な精液検査(精子機能検査)は、一般精液検査で問題があったときなどに行なわれます。「アクロビーズテスト」「精子膨化試験」「精子生存試験」「ハムスターテスト」「精子核成熟度検査」「抗精子抗体検査」などがありますが、不妊用語辞典で簡単に説明していますので興味のある方は参考にしてください。(ページの下で個別でリンク)
精液量 | 2ml以上 |
精子濃度 | 1ml中に2000万個以上 |
精子運動率 | 前進運動精子50%以上、または高速直進運動精子25%以上 |
正常形態精子 | 30%以上 |
生存率 | 50%以上 |
白血球 | 1ml中に100万個未満 |
イムノビーズテスト | 50%未満の結合性 |
MRAテスト | 50%未満の結合性 |
WHOの基準
精液の採取の前に、禁欲期間を「2日~7日」持ってください。その際に精子を入れる容器(広口のプラスティック)に、禁欲日数を記載しておくと解析するときに調整する施設もあります。
禁欲期間を上記ではなく「4日~7日」とするところもあります。情報過多になると困惑することがありますが、その施設ごとの指導に従ってください。基本的には、精管内の精子は射精されてから4日ほど経つと、また十分な分泌液で満たされます。
禁欲期間が短すぎると精液量が少なくなることがあります。また反対に長すぎると精子運動率の低下、あるいは精子濃度が高くなることがあります。
病院から渡される精液採取用のプラスティック容器に精液を採取します。自宅で採取した精液を2~3時間以内を目標に病院にもって行きます。病院内に「採取室」があり、当日に男性が来院して精液検査をする施設もあります。(1時間以内に持参できなければ施設内の採取が望ましい)
精液は、マスターベーションによって全量を採取します。コンドームは精子の運動率に影響することがあるので使用を避けます。また仲良しの途中から採取する方法も、取りこぼしや雑菌を含んでしまうこと、あるいは女性の頸管粘液(おりもの)に抗体があり運動を低下させてしまうことがあります。
精液の採取時に「気持ちを込める」と、良い精液になるという意見もあります。機械的ではなく妻に手伝ってもらうなどの方法で、自然な絶頂感に達するように心がけてみてください。
検体の温度が下がらないように(25度以上で)自宅から病院まで運びます。精子は体温より少し低い31~33度ぐらいが1番運動率が高いと言われています。ハンカチにくるんだり懐に入れたり、人肌の温度にあわせるためにブラジャーの中に入れて運ぶ人もいます。
ただし温めすぎも厳禁なのでカイロなどを使うのは逆効果となります。精液の搬送方法には「室温で十分」という意見もありますので、その施設の方針に従ってください。基本的には20度以下、あるいは40度以上になると精子の運動は著しく低下します。
精液検査は1ヶ月の期間に、少なくても「2回以上」行なうことが望ましいとされています。そして2回の結果に大きな相違があるときには、さらに精液検査を繰り返します。
精子がつくられることを「造精」といい、その形成から移送まで、約3ヶ月間の期間が必要になります。そのため同じような条件で正確な検査をするためには、時間を空けずに検査を繰り返す必要があります。
精子濃度には以下のグラフのような大きな変動があることからも、精液検査の正確な診断には数回の検査が必要と考えられています。
若年男性(20~22)を対象に1年間精液検査を行なった結果(4例)
4例のうち3例は12回の検査のうち1回以上「1ml中に2000万個以上」というWHOの基準を下回っていた。(グラフ濃度は100万単位)
不妊治療は男性が協力的であるかどうかで、女性側のその負担は全く変わってきます。妻から「精液検査」という言葉を聞いて、「俺はそんな検査は受けない!」と言い張る夫も中にはいるのです。
もともと不妊治療に前向きではなかったり、「自分に問題があるわけない」と思い込んでいたり、あるいは「もし自分に問題があったら・・」と神経質になってしまう人もいます。
しかしその行為を誰に見られるわけでもなく、また精液を持っていくのもほとんどが妻のはずです。女性は顔を見られることはもちろん、内診もあるし治療のために薬を飲んだり痛い検査もあるのです。
文頭にも書いたように「妊娠」とは精子と卵子が1つになることでスタートします。そのためには女性と男性の負担は半分ずつという気持ちで、お互いに助け合うことが必要だと思います。
また女性は「もし精液検査の結果が悪かったら・・」と考えてしまうのも当然のことでしょう。しかし「もし結果が悪かったら、これからどうなるんだろう?」とか「お金がかかるのかしら?」とか、「夫にどうやって声をかけたらいいのか?」とか、検査前から考えるべきではありません。
そのような不安はきっと夫にも伝わってしまいます。あなたが検査を受けるときに、夫が自分にしてくれた嬉しかったことや、勇気付けられたことを思い出してください。
そしてもし本当に結果が悪かったとしても、1度くらいの検査では正確な診断は出来ません。実際に上記のグラフのように、問題がない場合でもこれだけの変動が起こるのですから。
精液検査は不妊検査の中でもとても大切なものです。「e-妊娠」では、赤ちゃんが欲しいと頑張っている人が真っ先に受けて欲しい不妊検査を、この「精液検査」と「子宮卵管造影」だと考えています。
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