羊膜とは、赤ちゃんと羊水腔を包んでいる膜のことです。羊水量の調節に大きな役割を果たしているのが羊膜で、赤ちゃんの尿で増えた羊水腔の水を母体循環へ移動して調節しています。羊膜は妊娠3週くらいまでに完成し、羊水の量は妊娠8週頃から毎週「10mL」ずつ増加して、妊娠33週頃には最大の800mLになります。
妊娠中、おなかの赤ちゃんは温かい羊水の中でぷかぷか浮かんでいますが、この羊水が子宮にこぼれないように包んでいる膜を卵膜といいます。卵膜は3層からなり、外側から脱落膜、絨毛膜、羊膜とそれぞれ違った役目をする膜で形成されています。
羊膜は卵膜の中では1番内側に位置し、羊水を分泌しながら赤ちゃんに適した羊水量に調節する大切な働きをします。出産のサインに羊水が流れ出る破水というものがありますが、この破水時に破ける膜が卵膜であり羊膜です。そして出産後にその役目を終えた羊膜は不要物となって排出されます。
羊膜細胞は治癒、再生能力があると考えられ、今後の再生医療に深くかかわる可能性があるとされています。現在でも難治性眼の患者さんに対し羊膜移植の適応が広まっているようです。
また羊膜(卵膜)が細菌感染などが理由で炎症を起こしてしまうことを「絨毛膜羊膜炎(CAM)」といい、前期破水や早産の原因になると考えられています。