沐浴指導とは、産院で母親または赤ちゃんを看護するものが、指導のもとで沐浴の手順や目的を覚えることです。
沐浴指導には、単に赤ちゃんを入浴させるだけではなく、様々な目的があります。赤ちゃんの沐浴は、通常の入浴とは方法が全く違うので、母親だけでなく家族も沐浴指導を知ることが大切です。
新生児は首も座っていないうえに、自分で体や顔の向きを変えることもできません。しかも、自分で体温調節ができない状態で、裸で沐浴します。そのため室温や湯温といった細かな準備が必要なのです。
産院では、出産前の母親学級から指導が始まる場合もありますが、産後の入院中にも実演しながら沐浴指導が盛り込まれている場合があります。
沐浴指導を受けて良いのは、ママだけではありません。実際に育児に携わるパパや家族も、指導を受けることができる場は沢山あります。
新生児は授乳と睡眠で、多くの時間を過ごします。赤ちゃん自身で体の不調を訴えられない分、育児にたずさわる側の注意は必須です。同じところを触ると大泣きしたり嫌がるときは、その部分に異常があることも考えられます。
新生児の肌はデリケートなので、衣類や寝具によっては肌が過敏に反応することもあります。同じ部分だけが赤くなっていたり、湿疹ができるときは肌に直接あたっている素材を確認します。
沐浴指導では、新生児ならではの洗い方を指導してもらいます。例えば手首は、大人ならくるくる周囲をさすることで洗い流すことができます。ところが新生児は手首に深いシワがあるので、さするだけでは完全に洗い流すことができないのです。
新生児は手首のシワに皮脂やほこりが詰まりがちです。しっかり、シワに沿って洗わないと溝の汚れはとれません。同じように足首も深い溝があれば、赤ちゃん特有の洗い方が役立ちます。
沐浴で洗い流せなかった汚れが残ると、赤ちゃんは汗かきなので汚れた部分が蒸れてあせもをつくることも考えられます。ゴシゴシ洗い流す必要はありませんが、優しく溝の汚れまで洗い流せば毎日清潔な肌が保てます。
母乳やミルクが肌に付着したままだと、やがて肌表面がかぶれることもあります。沐浴時にチェックして悪化する前に処置してあげます。
同じように、新生児のおしりや肛門周辺に、排せつ物が付着したままだと蒸れて肌がふやけたり、細菌が増殖してしまう可能性が高くなります。おむつに関しては毎日、肌の表面がサラサラで清潔を保てているか確認します。
新生児の場合、おむつ交換時にしっかり汚れを拭き取ろうとすると、逆に肌に負担をかけることが心配です。沐浴時に洗い流すことで、おむつ交換時の肌への負担を軽減させます。
新生児は自分で体温調節をすることができません。室内の温度、お湯の温度で赤ちゃんの体の機能が働きやすい環境を作ってあげます。新陳代謝が向上すると、血液のめぐりがよくなって赤ちゃんも気持ち良くなります。
また、暖かいお湯につかり体を温めることやベビー服を脱いで裸になるだけでも、赤ちゃんにとっては昼夜の違いを付ける動作になります。生活にメリハリを付けるように、同じ時間に沐浴を行うのはこうした理由があるからです。
新生児が自分の新陳代謝の向上や、生活リズムの定着を考えることはできないので、親が毎日考えてあげることが必要です。
新生児の沐浴には、いくつかの注意点がありますが、赤ちゃんをよく観察するだけではなく、親子のコミュニケーションをとる貴重な時間です。実際、沐浴では話しかけながら新生児の顔を見て沐浴をすすめていきます。
特に初産婦は沐浴を始め、初めての育児に戸惑うことも多々あります。産院で沐浴指導を受けて疑問を解消すれば、退院後もスムーズに沐浴ができます。
沐浴を行う際の疑問や不安は、実際に行いながら学ぶことが1番確実です。産院での沐浴指導は、新生児の特徴をふまえて、実演しながら教えてもらえるので分かりやすいことが特徴です。
もしも、沐浴指導に関して分からない事や不安があっても、入院中ならば沐浴指導後でも質問する機会があるので、退院前に不安は解消しておきましょう。