初乳とは、産後1週間以内に分泌されるクリーム色のドロッとした母乳です。
通常の母乳よりもとろみがあり、色も違います。可能な限り、母乳の量に関わらず初乳を少しでも多く飲ませることが理想的です。初乳には赤ちゃんを守る抗体成分や貴重な栄養が含まれているからです。
初乳の出る期間は体調や授乳回数、授乳量によって人それぞれです。大まかには生後から1週間程度だと考えられています。
母体から分泌される母乳は、日本では生後5日間まではどのような形態にしても流通はできない事になっているので、この期間は母子ともに、とても貴重な初乳を与えることができるのだと分かります。
初乳はクリーム色のような黄みを帯びています。通常は白っぽい母乳ですが初乳だけは色味が異なります。通常はさらっとして水っぽい母乳です。初乳だけはドロッとしたとろみが強く出ます。
初乳がだんだん薄くなって通常の白っぽい母乳に変化します。これは母乳をつくる成分の割合が変化するからです。
成分に変化があるのは、初乳は出産前から乳房内に分泌されている成分が含まれるからです。出産を機に胎盤が排出されると、体内のホルモン濃度のバランスが変わり、通常の白くてさらっとした母乳が作られるように変化します。
初乳が黄みを帯びているのは、通常の母乳よりもβカロチン(べーたかろちん)を多く含んでいるからです。
初乳には、その後の母乳よりも高い濃度で含まれる成分が沢山あります。以下の成分は、初乳のほうが濃い濃度で含まれているといわれています。逆に脂肪は初乳のほうが少ないと言われています。
コレステロールは初乳では高濃度で含まれていますが、その後は減少して1ヶ月程度で無くなります。特に食事のように、コレステロール値を気にするほどではありません。逆に母乳育児で育った子どもは動脈硬化になりにくいという説もあります。
初乳には新生児を細菌やウイルスから守る抗体成分が多く、効果も約半年続きます。初乳に含まれる抗体に、IgA抗体があります。IgA抗体が少ない赤ちゃんは、アレルギー症状が出やすいと言われています。
IgA抗体は分泌型免疫ブログリンAという、抗体の1種です。消化器官や呼吸器管の粘膜の免疫を高めるので、新生児は母乳だけでも病気にかかりにくい体を保つことができます。
初乳を沢山飲まないと、もうIgA抗体を赤ちゃんに与えられないというわけではありません。その後の母乳にも少なくはなりますが、IgA抗体が含まれます。同じように赤ちゃんの抗体を作るIgG抗体は、胎盤をとおしてママから赤ちゃんへ譲られます。
初乳にはラクトフェリンという成分が多く含まれています。ラクトフェリンは、たんぱく質の仲間で熱に弱いので加熱殺菌すると消失されてしまいます。健康食品やヨーグルトの成分表示にラクトフェリンの名前が上がっていますが、新生児は初乳から摂取します。
ラクトフェリンは、体の機能や器官が未発達な赤ちゃんをウイルスから守ります。初乳には、その後の通常の母乳の3倍のラクトフェリンが含まれていると考えられています。
ラクトフェリンは、大腸菌をはじめ、ブドウ球菌、ヘルペスウイルス、C型肝炎ウイルスなど多くの細菌やウイルスに対しての免疫力を高める力を持っているので新生児に与えたい成分の1つです。
初乳が出ない時は、ママの体調に異変がある時以外は母乳の通り道である乳管が詰まっている場合が考えられます。
乳管が詰まっていると、蛇口をひねって水を出しているのにホースの途中が詰まって出口まで水が流れないような状態です。しかし、乳管のつまりは解消する手段があります。
赤ちゃんが母乳を飲むことで乳腺が発達して乳管の流れもよくなるので、出産直後は未だ母乳が出にくいママが多くいます。もしも乳管のつまりが原因で初乳が出ない時は、マッサージや赤ちゃんに何度も乳首を吸わせることで改善していきます。
基本的に初乳は、その後の母乳よりも少量の分泌です。少しでも栄養価や成分がぎっしり詰まっているので、量は人それぞれだと考えましょう。新生児はもともと哺乳力が弱いので、少しずつしか飲めないこともあって、ママが初乳の量を気にしてしまうこともあります。
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