妊娠中はアルコールを制限しなければなりません。お酒が好きなママには耳が痛い話ですが、妊娠中に摂取するママのアルコールは、そのまま赤ちゃんに届いてしまいます。昔からアルコールは胎児に悪い影響を与えると言われていますが、実際、妊娠中にお酒を摂取し続けると、赤ちゃんにどのような不安が生じるのでしょうか。
2004年からはアルコールメーカーの自主規制によって、妊娠中および可能性のある女性への注意も表示されはじめました。近年、増加傾向にあると言われているママのアルコール摂取と胎児性アルコール症候群を例に考えてみます。
胎児性アルコール症候群とは、赤ちゃんがママのお腹にいる間に、ママの摂取したアルコールの影響で発達障害や学習障害をおこしてしまうことです。別名「Fetal_Alcohol_Syndrome」と言って「FAS」と呼ばれています。日本だけではなくて世界中で妊娠中に注意すべきことに取り上げられています。
中枢神経系の異常があると、学習障害や多動になりやすいと言われています。それだけではなく、出生前から発育不全に陥りやすく低体重が目立ちます。その他にも出生後は以下の顔立ちが特徴的です。
ママやパパがアルコール依存症や胎児性アルコール症候群と診断されていても、産まれてくる赤ちゃんが遺伝的に胎児性アルコール症候群になるわけではありません。胎児性アルコール症候群になる原因は、妊娠中と授乳中のママのアルコール摂取によるものなのです。
これは、母体から赤ちゃんへの栄養を胎盤を介して血液が運ぶことが関係しています。アルコールを摂取すれば血中のアルコール濃度が高くなり、胎内の赤ちゃんもお酒を飲んでいるのと同じ状態になるからです。同じように血液が原料となる母乳も、アルコールを摂取していればアルコール入りの母乳が出来上がるのです。直接ではありませんが、ママが赤ちゃんにアルコールを与えてしまっていると考えられます。
胎児性アルコール症候群の原因は遺伝ではなくてその時のママのアルコール摂取の有無で決まります。お酒が好きな方にはちょっと怖い話ですが、逆に考えると、赤ちゃんの関わる決められた期間にアルコール摂取を控えれば防げるものなのです。
ではどうやって胎児性アルコール症候群を予防していけばよいのでしょうか。先ずはアルコールを摂取しないことが1番です。胎児性アルコール症候群に陥るアルコール摂取量は明確には発表されていません。
自分ではちょっとした気分転換でほろ酔い程度の飲酒量だと思っていても、赤ちゃんがママよりお酒に強いわけはありません。ママがほろ酔いでも、胎内、または授乳中の赤ちゃんにとっては大量のお酒になってしまうのです。
最近はビールやウイスキーではなくカクテルが女性に飲みやすく流通しています。これは飲み口が軽いだけで、よく調べるとアルコール度数は高かったりします。ジュースのように甘い口当たりなので、ついつい量が増えてしまいがちです。ビールだとすぐに酔うから軽いカクテルを・・という考えもありますが、ビールをカクテルに変えてもアルコール摂取量が減るわけではありません。
しかし全く飲まずにいられないこともあるかと思います。1度少量呑むくらいは気分転換やストレス解消になると思います。ただ、アルコールは習慣になりやすいので慣れが高じて毎日飲酒したり、徐々に量が増えたり・・なんてことには注意しなければいけません。
妊娠中の禁酒アイテムと言えば、ノンアルコールビールを思い浮かべるママもいるかと思います。実はノンアルコールと名がついてもアルコールが微量は含まれていて、何本も呑めば普通のビール1本分に相当することもあるそうです。アルコール度数が1%未満なら、アルコール飲料と言われないから「ノンアルコール」と名付けているのです。
また、妊娠初期は赤ちゃんの存在に気が付かずに深酒することもあるでしょう。それでも、お腹の赤ちゃんが胎児性アルコール症候群になるかどうかは確定されませんし、妊娠期間を通じてアルコールを摂取しても元気な赤ちゃんを産んでいるママもたくさんいます。
ただし、ママが妊娠・授乳中に飲酒することで、赤ちゃんが胎児性アルコール症候群の予備軍になることに変わりはありません。こうして考えると、胎児性アルコール症候群になって体や容姿に異常が現れるのはママではなくて赤ちゃんだということが分かると思います。
お酒の好きな方や、行事でお酒の席につく機会が多い方にとって、お酒を飲まないということは大変ですが、ちょっとお腹の赤ちゃんの健康を考えてあげることもママの優しさだと思います。本当に赤ちゃんに影響が出てきてから後悔するのはとても辛いことです。
そもそも10代の未成年が健康上、アルコールを摂取してはいけないと法律で言われているのですから、赤ちゃんが摂取して健康に良いわけはないのです。妊娠・授乳期間に禁酒をすれば胎児性アルコール症候群の心配は要りません。赤ちゃんの為にもお酒との良い関係を作らなければならないのです。