初めての妊娠でもわかるように、NSTをやさしく説明します。NSTとはノンストレステストの略で、陣痛など赤ちゃんへのストレスや刺激のない状態で行われ、赤ちゃんが出産に向けて元気かどうかを知る検査の1つです。
NSTとは「ノンストレステスト」と呼ばれる検査です。「胎児心拍数(たいじしんぱくすう)モニタリング」とも呼ばれます。
NSTと聞いたら、お腹のなかの赤ちゃんの心拍数を知る検査だと考えてください。聞きなれない単語ですが、妊婦健診では多くの産院で妊婦さんに行っている一般的な検査です。
NSTはノンストレステストともいうように、赤ちゃんへの負荷を調べるものです。赤ちゃんは出産時に何時間もかけて慣れた子宮から外に出ます。産道を通るときは体を転回させたり、体力を消耗するものです。NSTでは、このような状況に赤ちゃんの心臓が耐えることができるのかを予測するために、心拍数を調べます。
もしも心拍に異常があったり検査結果に不安があるときは、帝王切開など様々な方法を考えるきっかけになります。医師はNSTの結果を参考にして、今後の出産についてアドバイスできます。
NSTをおこなう時期は妊娠後期です。産院や妊婦さんの健康状態、妊婦健診の予約日の都合上、必ずこの日にという決まりはありません。だいたい出産が近づき陣痛の予兆がない34~36週以降におこなうことが多いようです。
なぜ陣痛のないときにおこなうのかというと、陣痛は子宮収縮がおこるので赤ちゃんは一時的に低酸素状態になります。これは赤ちゃんにとって負担がある状態なので、陣痛や子宮収縮のないときにおこなうのです。
もしも妊娠高血圧症候群やお腹の赤ちゃんに発育トラブルが心配されたときは、もう少し早い時期にNSTをおこなうケースもあります。妊娠中は経過も人それぞれなので、NSTが早い遅いで優劣が決まるわけではないので安心してください。
NSTをおこなうときの主な流れを説明します。どんな検査か不安なときは参考にしてください。
NSTをおこなうとき、背もたれのあるベッドや椅子を使用します。妊婦さんは仰向けに寝て上半身を15~45度程度起こします。足はゆったりと伸ばして力をいれないようにします。これがセミファーラー位と呼ばれる姿勢です。
セミファーラー位の理由は、妊婦さんが仰臥位低血圧症候群(ぎょうがいていけつあつしょうこうぐん)になることを防ぐためです。仰臥位(ぎょうがい)とは、仰向けになることです。
妊娠中期以降は仰向けになっていると血圧が低下することが心配です。心臓をポンプにして体全体に行きわたる血流は背骨側にある大きな静脈を通って心臓に戻ります。でも、妊娠中期以降は仰向けに寝ることで、大きくなった子宮が静脈を圧迫することがあります。
妊娠中期以降に背骨側の静脈を子宮が圧迫すると、そこで血流が滞って心臓まで血液が戻りにくくなります。すると体に行きわたる血液が急減少して、低血圧がおこります。
胎内の赤ちゃんに運ばれる血液も減少するので赤ちゃんは低酸素状態に陥る危険もあります。このような症状を予防するために、NSTはセミファーラー位でおこないます。
NSTでは心拍数を測定するための器具を2種類、母体のお腹に装着します。1つめは母体のお腹が張っているかを調べます。陣痛トランスデューサーと呼ばれる器具です。
2つめは胎内の赤ちゃんの心拍数を調べます。心拍トランスデューサーと呼ばれる器具です。陣痛トランスデューサーも心拍トランスデューサーも手のひらサイズなのでお腹を圧迫することはありません。
赤ちゃんの心拍数は1人ずつ調べるので多胎妊娠の場合は赤ちゃんの人数分の心拍数を調べる器具を装着します。つまり双子の場合は、合計3つの器具を装着します。器具はベルトで固定されるので勝手に落ちることはありません。
NSTのための器具を装着したら、セミファーラー位の状態で20~40分計測がはじまります。気分が悪くなったり計測に異常がないか、NST中も看護師さんや医師がみてくれるので安心してください。母体の意識もあるので心配なときは呼びます。
また、赤ちゃんの胎動があったときは手に持ったボタンを押すように言われます。胎動の有無がはっきりわからなくても検査は進むので、あまり過敏にならずにリラックスしてください。心拍と胎動を一緒に調べる器具を使用する場合、このボタンは不要です。
赤ちゃんは20分間隔で睡眠を繰り返すと考えられ、そのために30~40分の計測となりますが病院によっては20分計測のケースも多いようです。20分の計測でも赤ちゃんの健康状態が判断できればNSTは終了です。1時間かかることもあります。時間の長さは人それぞれなので最短20分と考えてください。
NSTでは母体に装着した陣痛トランスデューサーと心拍トランスデューサーの計測結果がモニターにうつされて記録用紙に出力されます。これを医師がみて診断します。もしも出力できないときは器具の装着場所を変更します。
記録用紙はマス目のついた用紙で、NST中はずっと出力されます。用紙の上段は心拍トランスデューサーの様子です。波が細かいのは赤ちゃんの心拍数が大人よりも早いからです。赤ちゃんの心拍数は1分間に120~160回程度です。波が細かいのは赤ちゃんが活発なサインです。
NSTの記録用紙の下段は母体の子宮収縮を調べる陣痛トランスデューサーの様子です。通常は高さのない波が続きます。もしもグンと高い波が出ていたら、そのとき大きな子宮収縮があったサインです。
出産予定日が近くなれば、子宮収縮も頻繁になるので下段の波が増えていると出産が近いとも考えられます。ここから切迫早産や予定日よりもはやい出産も予測します。
NSTの費用は確定されていません。病院によってわずかに金額の違いがあるようです。だいたい2000~3000円だと考えてください。
NSTの多くは妊婦健診時におこなわれるのでNSTの費用だけではなく、超音波検査や健診費用も必要です。自治体で妊婦健診費用の補助がある場合は活用してください。
NSTがあるときの服装も初めての出産では悩みます。検査当日は、トップスとボトムスで分かれている服をおすすめします。
NSTでは器具を装着するためにお腹を出します。ワンピースだと裾をお腹の上までめくる必要があるので下半身が露出します。もちろんバスタオルなどで隠して検査を進めますが、上下別のほうが気楽です。
NSTの計測中はずっと同じ姿勢なので気分が悪くならないように、締めつける服は控えましょう。
NSTを病院でおこなうとき、20分以上かかるので姿勢が変わらなければ音楽を聴いたり本を読んだり、のんびり過ごしてください。病院内が静かだと、ついついお昼寝してしまう妊婦さんもいます。
NSTの最中は、医師からの許可があればパートナーと一緒に記録用紙をみたり赤ちゃんの心拍を聴いて過ごすことも可能です。そのときは前もって医師に相談してください。
聞きなれない検査ですが、あまり緊張せずにゆったりと過ごしてください。ただし精密機器のある病院内では携帯電話は控えるのがマナーです。インターネットなどスマホで遊ぶのも控えましょう。
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