摂食障害についてわかりやすく説明します。妊娠と出産を考えた時、自分の理想の体重にしたくてダイエットをしすぎてしまうことが心配です。なかでも10~30代の女性は摂食障害に陥りやすく、過食症と拒食症を繰り返す病気が問題視されています。
摂食障害とは、過度に食事をとりすぎたり、過度に食事制限をして健康面や精神面の安定を崩してしまう症状の総称です。
摂食障害は、大きく過食症(かしょくしょう)と拒食症(きょしょくしょう)に別れますが、この2つは違うようで密接な関係です。拒食症から過食症へ移行したり、その逆も見られます。
こうして説明すると、摂食障害は食事に関わる問題のように見えるかもしれませんが、実はもっと根深い問題を抱えているケースが多いのです。現在は若い女性にとって珍しくない症状で、厚生労働省の難治性疾患(難病)として指定されているほどです。
摂食障害になると、妊娠や出産にも影響するケースがあることを知ってほしいです。それだけ、母親になる体の健康は大切なのです。
ダイエットをしたことのある人なら、食べることに罪悪感を覚えることも1度はあるものです。
あまりに罪悪感を感じすぎたり、それが毎回続くようになると今度は食べないように気をつけるようになります。軽く考えれば、これはダイエットです。
ところが、だんだん食事に対して固執しなくなったり、罪悪感を感じない自分に安心するようになると食事ができなくなってしまうこともあります。悪化すると拒食症になってしまいます。
拒食症になる原因は1つではありません。対人関係や家族間の悩みも大きく関係していると言われています。その悩みの重圧からアルコール依存になる人もいます。
そんな症状が出て、体がやせ細ってしまっても本人は病気と思わないので元気にふるまっているケースもあります。逆に痩せたことは嬉しく思っています。だから治そうと思わないまま、「もっと痩せたい」と過度に運動をしたり、食事制限を続けてしまうのです。
こんな状態が続くと体重減少はもちろん、栄養不足から貧血や肌荒れ、運動能力の低下が始まります。悪化すると、どんなに低カロリーでも食事を受け付けずに、点滴や医療行為でしか栄養補給ができなくなります。
栄養不足から月経不順や、月経が止まってしまうことも心配です。これでは、どんなに細い体を手に入れても赤ちゃんを産む準備が遅れてしまいます。
そして妊娠中の拒食症も、とても心配です。お腹が大きくなることを「太る」と勘違いして食事ができなくなると、母体よりも体力のない胎児は困ってしまいます。
拒食症で食べることができなかった人が無茶食いをしたり、コソコソと短期間に沢山食べることで過食症に移行するケースがあります。けして珍しいことではありません。
でも、結局は食べてしまったことに後悔して嘔吐したり、下剤を飲んで「食べる前の状態」に戻したくなります。
それでも食べたことに変わりはないので、体重が増えて肥満傾向になると思われがちですが、逆に栄養摂取が上手にできなくて痩せてしまったり、肌荒れや体調不良に悩まされます。
ストレスがかなり溜まるので、顔の筋肉がピクピク痙攣することもあります。イライラして人と接したくなくなったり、うつ病を併発する恐れもあります。
過食症は食べてばかりで自制心がないと勘違いされやすい症状です。でも、よく考えると自制心が強いからこそストレスが溜まってしまうのです。
妊娠・出産するために必要なものは健康な体です。健康な体は、理想的な体型やスタイルの良さよりも、精神的にも落ち着いて健康的に過ごすことができる体だと考えてください。
どんなに綺麗でスタイルのよい妊婦さんになっても、拒食症で栄養の足りない体では、妊娠中の鉄分不足や体力低下が心配です。これでは出産どころか、妊娠を維持することで精いっぱいになり兼ねません。
赤ちゃんのことを考えたら、まずはママの体を丈夫で健康にしていく必要があります。これは簡単なようでとても難しいことです。妊娠を考えたり、妊娠したからといってすぐに治せる症状ではありません。
誰にでも話すことのできる問題ではないし、話したからといって完治するほど簡単なものではありませんが、1人で克服できないハードルは信頼できる相手や医師に助けてもらうことも考えてください。
過食も拒食も、自分に向き合うからこそ起こる症状です。焦るともっとプレッシャーがのしかかります。無理せず、期間を決めずに向き合ってください。