妊娠中はシートベルトが不要だと勘違いしている人も多いようです。妊娠中の母体にやさしいシートベルトの装着方法や注意点をわかりやすく説明します。
妊娠中に車に乗ったときはシートベルトをしなくてもよいという説もありますが、実際は妊娠中のシートベルトが例外に当てはまるだけで絶対にシートベルトをしなくても良いとは定められていません。
ちょっと聞きなれない文章ですが、道路交通法という車の運転にかかわる法律があります。道路交通法大71条3に「自動車(大型自動二輪車及び普通自動二輪車を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定により当該自動車に備えなければならないこととされている座席ベルト(以下「座席ベルト」という。)を装着しないで自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため座席ベルトを装着することが療養上適当でない者が自動車を運転するとき、緊急自動車の運転者が当該緊急自動車を運転するとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。」という文があります。
ここでいうやむを得ない理由に、妊娠があてはまるからシートベルトの未着用が許されるという誤解をする人もいるようです。現在はシートベルトの未着用時よりも正しい着用時のほうが妊婦自身もお腹の赤ちゃんも安全性が高まるという理由から、シートベルトの正しい着用が勧められています。(参考1)
妊娠中はお腹を圧迫したり締め付けることは避けるべきなので、シートベルトでお腹を圧迫してしまうことも避けたいです。そう考えるとシートベルトをしないほうが妊婦のお腹にやさしいのではないかとも思えがちですが、急ブレーキや予想外の事故に巻き込まれたとき、シートベルトを着用していなければ妊婦の体を守るものがないのも事実です。
シートベルトによる圧迫さえなければ、妊婦も安心してシートベルトを着用できます。以前は2点式が多く、ラップストラップと呼ばれる腰ベルトだけで体を支えていました。そのため強い衝撃を受けるとお腹だけが支えられるのでお腹を曲げて前のめりになりがちでした。確かにこの状態では母体は守れますが、お腹には強い圧迫を与えます。
現在のシートベルトは上半身に斜めにかけて固定するショルダーストラップが加わった3点式シートベルトが主流です。3点式は上半身も固定するので、衝撃を受けても2点式ほどお腹を曲げることが少なくなりました。
妊娠中はシートベルトに対して「お腹を締め付けるもの」「お腹を押すもの」「体が窮屈になるもの」といったイメージを抱きがちです。妊娠中は妊婦の体に適したシートベルトの着用方法を試してください。
妊娠中のシートベルト着用のコツは、上半身を支えるショルダーベルトは肩から斜めに、お腹のふくらみにかからないように腰骨のほうにおろします。お腹の上にシートベルトを乗せるというよりは、お腹のふくらみをさけるイメージです。同じようにラップストラップ(腰ベルト)もお腹の上を押さえつけるのではなく、お腹を下から支えるイメージで、腰骨の低い位置で固定します。(参考2)
シートベルト着用で気を付けてほしいのは、ベルトが緩んだままだと本来の安全性が十分に期待できなくなることです。かといって締め付けすぎると、陣痛や張りを誘発することが心配です。そのため乗車時は焦らず、自分の体にやさしい装着を心がけてください。長時間の乗車は避けたほうが安心です。気分が悪くなったときは停車して休息してください。
急なお腹の張りや出血、起きていられない腹痛や貧血症状のときは体を横にしたほうが良い場合もあります。シートベルトを着用しないことは自己責任になりますが、緊急時は母体と赤ちゃんによい態勢を優先することも大切な選択肢です。乗車時は必ず母子手帳と健康保険証を準備しておきましょう。
関連記事:
妊娠中のシートベルト
妊婦のシートベルト着用方法
参考1:
JAF「妊婦のシートベルト着用効果実験」
参考2:
神奈川県警察「妊娠中の女性へのシートベルト着用の推奨について」
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