日焼け肌のケアをわかりやすく説明します。日焼けを予防する妊婦さんは多いですが、同じように日焼け後も放置せずにケアしましょう。特に妊婦は肌荒れしやすく、産後にシミが増える人もいるのでしっかりしたケアが大切です。
日焼けは肌の色が変わるだけではありません。肌の表面の水分が奪われて、急激に熱をもつので軽度のヤケド状態です。
ただ肌色が黒くなるだけではなく、赤く腫れあがって水ぶくれができたり、ヒリヒリするのは手指をヤケドした時と同じ症状です。しかも日焼けの場合は背中全体や腕一帯など広範囲になるので処置も大変なのです。
日焼けにはサンバーン(sun burn)と、サンタン(sun tanning)の2種類があります。
サンバーンの場合は、紫外線UVBが影響しています。UBVが肌表面を通過して毛細血管が充血して炎症を起こすと、肌が赤く見えます。
紫外線量が多いと、肌のバリア機能が負けてしまい、細胞が傷つきます。肌が熱を持ったり、水泡ができた時は肌表面が日焼けしただけではなく毛細血管や細胞組織と言った見えない部分が傷ついているということです。
サンタンの場合は、紫外線UVAが肌のメラニンを増殖させるように働きけます。赤く腫れあがったり水泡ができることがないので、一見「上手に日焼けした」と思ってしまいます。
UVAは地表に届く紫外線の90%を占めているので、多くの日焼けはUVAによるものです。
ところが肌が黒くなるだけのサンタンは、UVAが肌の奥(真皮)まで到達してしまうので、シミやシワ、たるみの原因を作ってしまうのです。
つまりサンバーンで肌が炎症した時は、早急に症状を抑える必要があり、サンタンで日焼けした場合も安心せずに皮膚の新陳代謝でメラニン色素の沈着を防ぐことが必要です。
どちらの日焼けをしても、アフターケアがとても重要なのです。
真っ赤に腫れてヒリヒリしているのはUVBによるサンバーンの代表的な症状です。肌のもっているメラニン色素防御効果を上回った日焼けをした証拠です。
日焼け後24時間程度でヒリヒリや炎症がピークに達します。たいてい日焼けをした当日は我慢できて、翌日に痛みや症状の悪化を実感します。
痛みが我慢できなかったり、肌表面の熱が治まらない場合は日焼けと言うよりも、皮膚炎を起こしている可能性が高いです。
早急に皮膚科に行って処置してもらいましょう。過敏になっている肌表面が傷ついて細菌が入ってしまったら、弱っている細胞に簡単に感染してしまったり、とびひになって更に肌表面を痛める恐れがあります。
腫れている部分に保冷材をあてる時は、ガーゼなど肌さわりのやわらかい布で包んでください。水をミスト容器に入れて吹きかけるのも効果的です。
先に説明しましたが、肌のバリア機能が低い状態なので、自己判断でいろんな成分を塗るのは控えてください。
水ぶくれができた部分は、皮膚が薄い状態です。水ぶくれを潰したくて、指で触ってしまうこともあるかもしれませんが、絶対に潰さないでください。
水ぶくれを潰した部分は傷となって細菌が入ったら、跡が残ったり、さらに症状が広がります。中身の黄色ブドウ球菌が肌の他の部分に付着して、とびひとなって周囲に水ぶくれを増やすことも避けたいです。
もしも小さな水ぶくれなら、清潔な水をあてて傷パッドのような保護できるものをあててください。広範囲になっている場合は、もう家庭で処置できる状態ではないと考えて皮膚科に相談してください。
水ぶくれができるほどの日焼けは、2度のヤケドと判断します。水ぶくれの跡が、肌よりも少し濃い色で残ってしまうこともあるので、専門的な処置を受けておいたほうが後々は安心です。
日焼け後に肌が痒くなることがあります。強くかくとスッキリしますが、日焼けで傷つきやすくなっている肌表面を傷つけてしまいます。
皮膚が乾燥しているうえに火照っていると、痒みが増します。ひっかくよりも水分たっぷりの濡れタオルをあてて、肌表面の火照りを落ち着かせてください。
強くひっかくと皮膚表面の角質が傷ついて、もっと治療期間が長引きます。我慢できない時は皮膚科で、痒みを落ち着かせる薬を処方してもらいます。
日焼け後の肌は最終的には下の新しい肌に変わります。日焼けをした皮膚がはがれ落ちる時、皮をむきたくなってしまいます。
自分で皮をむいてしまうとムラのある日焼け跡になりがちです。場所によってはすでに乾燥しきってはがれ落ちるだけの肌もあれば、まだ皮膚が乾燥しきっていなくて新しい皮膚ができあがってない部分もあります。自然とはがれるのを待ってください。
そもそも肌表面の皮膚がはがれ落ちるのは、肌表面の表皮細胞が機能しなくなっているからです。でも、その下の新しい皮膚はまだ完全に出来上がっていない場合もあります。だから、勝手に日焼け後の皮膚がはがれ落ちるまでは、その下で新しい皮膚が成長中だと思ってください。
この状態では保湿ケアが大切です。低刺激や敏感肌用に化粧水や乳液で、肌表面に潤いを与えてください。これでは乾燥した皮膚がはがれ落ちなくなるのでは、と思うかもしれませんが、やがて日焼け肌を押し上げて肌表面になる新しい皮膚には潤いが必要です。
特に、腕や顔など隠すことのできない部分の皮むけは、ちょっと恥ずかしいですね。フェイスパックのシートにたっぷり化粧水を含ませて肌にのせてください。
「こんなに日焼けしなければ良かった」と思いがちですが、ここまできたらきれいに表皮が生まれ変わるように潤いを与え続けましょう。
ちなにみ日焼けサロンなどで人工的に日焼けする場合は、紫外線UVAを照射していると考えてください。
炎症をおこさずに日焼けを継続させたいなら、日焼けサロンはメラニン色素に働きかけるUVAが主体なので希望に近い結果が残せます。
でも、UVAはまぶたを通過して水晶体に影響を及ぼすという報告もあり、海外では目の保護メガネをしているほどだそうです。つまり、日焼けサロンなら炎症を起こしにくい日焼けができますが、全くダメージがないとも言えないようです。
だから、太陽光ではないからと安心せずに、利用後は同じようにケアを続けることが必要です。
ちなみに妊娠中はホルモンバランスが変わって、敏感肌になるので紫外線をあてることは避けたいですね。急に体調を崩すこともあるので、妊娠中の利用は心配です。