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妊娠中のトキソプラズマ

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NHKで興味深いニュースが報じられました。日本小児感染症学会の調査によると、妊娠中にトキソプラズマに感染したママの中で、3年間に16人の赤ちゃんが、トキソプラズマの寄生虫の影響で目や脳に障害が出たそうです。

トキソプラズマの寄生虫の影響を受けて脳や目に障害が出た赤ちゃんは、先天性トキソプラズマ症(せんてんせいトキソプラズマしょう)と診断されるそうですが、この症状はあまり耳にしない人が多いのではないでしょうか。

現に今までは、トキソプラズマ症と診断された赤ちゃんは昭和60年の報告では1例だったそうです。最近になって増加したトキソプラズマ症の原因は、食生活の変化やガーデニングブーム、ペットとの関わりが影響しているそうです。

そもそもトキソプラズマとは何なのか、どんな検査で発見されるのかを紹介します。

トキソプラズマとは

トキソプラズマとは、トキソプラズマ原虫(げんちゅう)と呼ばれる単細胞の寄生虫です。トキソプラズマが原因の感染症は、トキソプラズマ症と呼ばれています。

トキソプラズマは、体温を一定に保つ人間や動物に感染します。宿主として有名なの生物は猫です。猫は最終宿主とも呼ばれ、体内でトキソプラズマの増殖が確認されている生物です。

猫がトキソプラズマを保有するのは、食事として生のえさやネズミを食べることが大きな原因の1つです。猫は加熱した食べものよりも、生の食べものを食べるのでトキソプラズマに感染します。

トキソプラズマに感染した猫のフンには、感染源の寄生虫が含まれています。しかも、なかなか死滅しないので周囲に感染しやすいのです。ただ、感染しても健常時は症状を抑えることができます。

どんな人が感染しやすい?

トキソプラズマとガーデニング

トキソプラズマに感染しやすいのは猫を飼っている家庭や、動物と触れ合うことの多い人です。やはりお世話をしていると、間接的にでもトキソプラズマの卵が体内に入ってしまう確率は他より高くなります。でも、動物が身近にいるからといっても感染する確率はわずかだと言われています。

次に生ものが大好きな人も、トキソプラズマに感染しやすい食品を好んでいる可能性があります。例えば生肉はトキソプラズマの感染経路の1つです。レバーや刺身だけでなく、加熱が不十分なレア状態の肉類、生ハムやサラミも含まれます。

砂場や土を触ることが多い人も要注意です。特に公園の砂場では、野良猫の尿や糞が心配です。トキソプラズマの卵が残っていると手に付着し、経口感染で体内に入れてしまう可能性があります。

ガーデニングは、トキソプラズマ症の増加原因の1つでもあります。ガーデニングで土いじりをする人が増加しているので、土からトキソプラズマに感染する人が増加しています。

ガーデニングや畑で野菜を育てている場合は、その土壌にトキソプラズマの卵があるかもしれません。野菜もやはり、生で食べると感染の可能性があるので表面はしっかり水洗いしたほうが安心です。

赤ちゃんへの影響は?

ママがトキソプラズマ症にかかった場合、100%赤ちゃんが感染するとは言われていません。ママが感染した場合、およそ50%程度が赤ちゃんにも感染すると言われています。

赤ちゃんまで感染する確率は100%ではありませんが、感染した場合は赤ちゃんに何らかの異常が発見される可能性があり、それは高確率です。

胎盤(たいばん)を介して羊水(ようすい)からトキソプラズマに感染した赤ちゃんは、頭の中に髄液がたまる水頭症(すいとうしょう)になる可能性があります。胎内で感染して、赤ちゃんに影響がでると先天性トキソプラズマ症と呼びます。

水頭症は症状が進むと、頭の中で脳が圧迫されます。外見的な特徴は、頭囲が大きく、へこんでいるはずの大泉門(だいせんもん)が膨らみます。状況によっては産後すぐに手術が必要な場合もあり、妊娠中に気になる病気です。

トキソプラズマの検査

トキソプラズマの検査は、妊婦検診でお願いできます。早く発見できれば、お腹の赤ちゃんに感染する前に治療ができます。トキソプラズマの検査は、妊娠著期の血液検査です。

トキソプラズマの検査結果は、トキソプラズマの抗体の有無を調べます。陰性(マイナス)なら、現在は問題ないということです。陽性(プラス)なら、ペットの有無や感染歴など、さらに詳しい検査があります。

いつトキソプラズマに感染したかが重要なチェックポイントです。妊娠前・過去にトキソプラズマに感染していても赤ちゃんへの影響は問題ないと判断されます。妊娠中にトキソプラズマに初感染した場合は要注意です。

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