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ベトナムの男児出生率について

指を掴む赤ちゃん

妊娠週&出産カウントダウンの設定

国内の話ではないのでピンと来ないかもしれませんが、少し前からベトナムの男児出生率が急激に増加していることが問題になっています。妊娠を望む母親は、日本だけではありません。今回は海外の妊娠事情について考えてみました。

最初にこの問題が提起されたのは2007年の国連人口基金(UNFPA)からの発表でした。農村部と都市部の人口格差が激しくなりつつある点は日本とも似ていますが、出産に対する考え方は少し違うようです・・。

ベトナムの出産事情

ベトナムは、実は学生の多い国です。その為、結婚と出産が遅くなる傾向にあります。そして、最大の特徴は男女の産み分けに対する関心が非常に高いということです。

国連人口基金の2009年5月のレポートによると、ベトナムの女児100人に対して男児の生まれる割合は112人にもなったそうです。以前は105人程度だったのに、最近は男児の割合が増加しています。

黄金の豚年

黄金の豚年(おうごんのぶたどし)とは、60年に1度しかまわってこないとされるベトナムの干支の1つです。日本で言う「亥」を指します。中国では、この年に生まれた男児は富と幸運に恵まれると言い伝えがあり、ベトナムでも信じられています。

その影響で、黄金の豚年になった2007年のベトナムでは、正月3日間だけでも100人以上の赤ちゃんが生まれたそうです。更には、どうしても黄金の豚年生まれの赤ちゃんを産みたいと、次の年に差し掛かる寸前で帝王切開を望む妊婦もいたのです。

結局、黄金の豚年に生まれた赤ちゃんは前年よりも数万人多く、約95万人ほど。そんな事例からも、ベトナムの女性は出産に積極的な印象を受けます。

産み分けが成功しているの?

では、どうして男児ばかりが生まれるのでしょうか。これには少し複雑な理由があるようです。日本でも年配の方が男児が生まれると「跡取りだ」と言うことがあります。ベトナムでも男児の誕生をことさら喜ぶ傾向にあるそうです。その為、妊娠時は男児を望むケースが多く、産み分けには大変関心が高いのです。

しかし、日本でも様々な産み分けが話題に上がりますが、どれも絶対に成功する確証はありません。もちろんベトナムの産み分け法も同じです。その為、妊婦さんの中には早くから超音波写真で男女の確認をする人もいるそうです。そして、男児を望む妊婦さんが女児を懐妊したと分かると、中絶してしまうことも珍しくないというのです・・。

つまり男児を望む妊婦さんが、本当に男児を懐妊していれば出産。女児ならば中絶を考える、そんな背景も男児の出生率だけが伸びている要因のひとつです。勿論、全てのベトナムの妊婦さんがこの考えではありませんが、これを産み分けと言えるのかは疑問です。

男の子が増えると・・・

日本でも同じことですが、男女の均衡に激しく差が開くと結婚・出産率は増加しないと言われています。ベトナムでも今回の男児出生率には、将来伴侶を見つけることができない男性が増えるという心配の声が出ています。

今年の夏、ベトナムでは男女産み分け指南本3万冊、27タイトルを廃棄処分にしたそうです。更に7つのウェブサイトから産み分けに関する記載が削除されるという結果になりました。

しかし、社会的な立場や収入を望んで男の子を産み分けようとする考えが、妊婦さんだけでなく周囲の家族にもある限り、産み分け本を処分したところで男女の出生率が均衡になるとは思えません。

日本は出生の時点で男女を平等に扱える国だと思います。でも、世界の発展途上国などでは未だに働き手になる男児が生まれると、ことさら祝う国もあります。そういった社会的な理由が、出生率や産み分けに影響してしまうのは仕方のないことなのでしょうか・・。

今回の政府がとった廃棄処分という行動も、苦肉の策といった印象を受けます。どちらにしても、男児だけを望んだり、女児だけを望んで出産する考えが世間一般に浸透している間は、こうした問題は解決しないのかもしれません。

ベトナムに限らず、せっかく授かった命を性別で判断する考えが少しでも減って、赤ちゃんがよりよい環境で迎えられることを切に願います。

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