毎年、初夏から秋にかけてはリンゴ病が流行する季節です。リンゴ病は、たいてい幼稚園や保育園、小学校で流行します。今年は4年ぶりにリンゴ病が流行し始めているので、大人も注意が必要です。
大人のリンゴ病は、乳幼児のリンゴ病よりも症状が重くなると見られています。しかも、妊婦には出産や胎児に対するリスクも予想されるので、今、注意してほしい感染症の1つです。
リンゴ病とは、伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)というヒトパルボウイルスB19の初感染によって起こる感染症の症状です。左右の頬が赤くなるので、その外見からリンゴ病と呼ばれています。
リンゴ病はヒトパルボウイルスB19の初感染が原因なので、1度感染すると免疫がついて2度とかかることは無いとも言われていますが、今の時点では確証が得られていないようです。
リンゴ病と聞くと、その響きから恐ろしさは感じないかもしれませんが、困るのは症状が現れて病院に行く時にはすでに感染期間を終えていることです。
つまり、リンゴ病の症状が現れる前にウイルスは伝染してしまうのです。気付かないうちに、ひとが集まるところで急にリンゴ病が流行してしまう原因の1つです。
リンゴ病の症状といえば、まず有名なものは頬がりんごのように真っ赤になることです。やがて太ももや腕にもレース状の赤い斑点が現れます。
お風呂や熱い季節で体感温度が高くなると、赤くなっている部分がかゆくなったり、火照るような感覚になります。これらの症状が出るまでは、軽い風邪の症状に似ているので、頬が赤くなるまでリンゴ病とは気が付きにくいようです。
大人がリンゴ病に感染すると、子どもよりも症状がはっきり出ます。手足の関節痛や発熱がみられ、乳幼児以上に高熱になりがちです。
大人が頬に赤みを持つと、マスクで隠せる範囲ではないので外出にも支障がでます。しかし大人の場合、赤みは太ももや腕のほうが発症しやすく、同時に筋肉痛になることもあるので、生活自体が大変です。
関節が痛むのに、子どものように頬が真っ赤にならない時は関節の病気と間違えられることもあります。今年はリンゴ病が流行しているので、関節の痛みがあって体調が悪い時はリンゴ病も疑ってください。
妊婦がリンゴ病になると、関節痛で行動が更に大変で疲れることと、赤ちゃんへの影響が心配です。
出産を控えている人や、予定している人はリンゴ病の早期発見が大切です。周囲に乳幼児が多い人や、家族でリンゴ病に感染した人がいる時は、大人もリンゴ病に感染すると思って子ども同様に予防対策を考えましょう。
リンゴ病で死亡する可能性は高くはありません。しかし、妊娠中にリンゴ病に感染すると、お腹の赤ちゃんはママ以上に危険にさらされるケースがあります。
妊娠中にリンゴ病に感染すると、約2~4ヶ月後に胎児に影響が出る場合があります。深刻だと子宮内で生死にかかわる状態になります。
妊娠中のリンゴ病で、お腹の赤ちゃんに最も危険な症状は胎児水腫(たいじすいしゅ)です。
胎児水腫にかかると、赤ちゃんは重い貧血状態におちいります。赤ちゃんは、皮膚が水ぶくれのような状態になります。
大切なのは、胎児水腫を発見することです。妊娠中にリンゴ病に感染して医師に相談しないと、赤ちゃんにたいする医療アクションが遅れてしまうからです。
リンゴ病を確実に予防するワクチンは、現在ありません。つまり妊娠・出産を考えている人は、各自で健康に気を付けることが本当に大切です。
リンゴ病の感染経路は飛沫感染(ひまつかんせん)です。風邪の予防同様に、うがい手洗いは励行しましょう。人ごみに出掛ける時はマスクが有効です。
妊娠・出産を考えている人は、冬のインフルエンザ対策のように手指の消毒をしましょう。そして少しでも体調に不安を感じたら、我慢しないで医師に相談してください。
リンゴ病について詳しく説明しています→育児単語:りんご病