マタニティーマークとは、一目で誰もが妊産婦であるとわかるマークです。マタニティーマークは妊産婦だと気がつかれない妊娠初期の女性にとっては、周囲の理解を得るために有効なマークです。ところがマタニティマークの意味をはき違えた使用方法や、周囲に誤解を招くこともあるので注意が必要です。
マタニティーマークに対する妊婦の考え、妊婦が身近にいない人にとってのマタニティーマークに対する考えに違いがあります。互いの認識が違うことで、トラブルや勘違い、誤解がないように改めてマタニティーマークについて考えました。
マタニティーマークについてはこちらでも詳しく記事を書いています→
マタニティーマークが最も必要な時期は、妊娠初期です。
体型によっては妊婦とはわからないものの、実はつわりに苦しんだり赤ちゃんの成長が不安定で疲労ストレスが大敵な時期でもあります。
でも、わざわざ「私は妊婦です」と言いながら電車やバスに乗ったり、買い物にいくこともできないのでマタニティーマークでそっと周囲に知らせます。
これは「妊婦体型じゃなくても妊婦だから優遇してね!」と言っているわけではありません。
もしも怪我や体調不良になったときに、周囲にお腹に赤ちゃんがいることに気付いてほしいのです。だから、妊婦体型になっていない妊娠初期にはマタニティーマークが必要なのです。
マタニティーマークは妊婦が周囲に向けてアピールするものでもありますが、実際に使ってみると妊婦自身も自覚が芽生えます。
周囲に助けてもらう以前に、自分自身が妊婦として赤ちゃんに負担をかけない生活を送ること、栄養のある食事を心がけるなど妊婦自身が考えていかなければいけないことを、マタニティーマークを見ることで自覚していきます。
マタニティーマークを、妊婦が堂々とつけているように見られがちですが、なかには「妊婦であることをアピールしすぎていないか」と使用をためらうケースもあります。
妊婦であることで「このさき仕事を継続しないのではないか」と判断されて、職場での対応が変わってしまうケースが未だにあるのも現実です。
産前産後は「育児休業したいけれど早めに職場復帰をしたい」と望む妊婦にとって、マタニティを強調することが自分の職場での位置を変えてしまうのではないかと心配なのです。
このような例からも妊婦自身は、妊婦であることのアピールが「必ずしも優遇されたり楽できるとは限らない」と考えています。
妊娠初期はお腹が目立たなくても、お腹にバッグがぶつかったり誰かの腕があたらないかとヒヤヒヤしてしまいます。
なるべく人ごみを避けるのが妊婦として気をつけるべきことですが、周囲の人にもちょっと知ってほしいのが本音です。だからといって、自分の前に立つなとか、自分のそばで走るなと言っているわけではありません。
ただ、マタニティーマークが見えたらそれ以上スピードアップしたり乱暴に行動することは控えてほしいと願っています。
妊婦の多くは、マタニティマークを体調悪化時や危険を避けて赤ちゃんを守るために利用しています。しかし、なかには「マタニティーマークを印籠(いんろう)代わりのように使っているのでは?」とみる人もいます。
マタニティーマークは、印籠を見たらみんなが何かをするような決まりごとはありません。各自の思いやりや気持ちで対応されます。だからマタニティーマークを見せられても、必ず良席を譲らなければいけないという規則はありません。
でも、もしも妊婦から体調が悪くて譲ってほしいと頼まれたときは、周囲の助けが必要なときです。特に妊婦体型ではないのにマタニティマークをつけている女性が辛そうにしていたら助けてほしいです。妊娠初期は流産の可能性が高い、危険な時期だからです。
マタニティーマークがあれば「絶対に電車で座ることができる」「周囲が気をつけてくれる」と思っているように見えることもあるようです。実際は、妊婦誰もがそう思っているわけではありません。
電車やバスに乗っている妊婦は、車の運転が危険だから電車やバスを選んでいる場合もあります。妊婦検診など歩いて通える距離ではない場合、公共の交通機関を利用せざるを得ないこともあるのです。
ただ、妊娠したいと願っている人にしてみれば「みせつけている」「自慢している」と見えてしまうこともあります。妊婦自身にその気がなくても、相手がそう感じてしまうことは残念です。
でも相手にしてみれば、妊婦自身が発している言葉や仕草に傷ついている場合もあり、とてもデリケートな問題でもあります。
妊婦がマタニティーマークをつけて偉そうに見えることもあります。特にお腹がおおきくなってきた妊婦が、体型でわかるのにマタニティーマークをつけてお腹をせり出して歩いている姿は、偉そうにしていると誤解されやすいです。
妊娠中期から、どんどんお腹が前にせり出しますが妊婦自身は体のバランスがとりにくく、つい腰に重心をおきすぎて痛めがちです。腰を守るために手をあてたり、バランス悪く背中を反らせる姿勢は周囲には偉そうに見えてしまいす。
もしも妊婦が偉そうな姿勢に見えたとしても、体のバランスがとりにくくて重心がずれていたり、腰を痛めている場合があることを知ってほしいです。
体型が原因で「偉そう」と勘違いされることは、妊婦にとってもショックなことです。
妊娠は病気や怪我とは違い、さらに望んで妊婦になっていることから優先されたり気遣われる必要はないという考えもあります。
確かに妊婦は病人ではありません。だから、出来る限りのことはするのが当然なのですが、つわりで普段よりも気分が悪いと「けだるそう」に見えたり、お腹が大きくて腰痛になったりバランスがとりにくいと「ダラダラしている」と勘違いされがちです。
マタニティーマークや、お腹のふくらみをみて誰かが気を遣ってくれたら、妊婦は感謝の気持ちを伝えましょう。
マタニティーマークによって優しくされたり、配慮されることがあったら、それは当たり前のことではないと解っていても「ありがとう」の言葉は大切です。
マタニティマークは推奨されていますが、必ず使用しなければいけない義務はありません。
周囲もマタニティーマークを見たからといって、必ず義務が生じることはありません。つまり今のマタニティマークの今後は、妊婦自身と周囲によって、いろんな捉えかたに変わっていくと予想されます。
周囲がマタニティーマークに対して冷たい態度だったり無関心なケースが増えれば、妊娠初期のマタニティーマーク利用者は減ってしまいます。その結果、体調不良や怪我をした女性が妊娠中だと気がつかれずに、お腹の赤ちゃんの生命が危険にさらされることが心配です。
逆に妊婦がマタニティーマークを印籠のように使用して、周囲の心遣いや配慮に感謝をしなくなったらマタニティーマークを推奨することはなくなるでしょう。
まずはマタニティーマークに対する間違った解釈や誤解をなくすために、妊婦だけではなく社会全体でマタニティーマークの意味や目的を知ることが必要だと、強く感じています。
マタニティーマークについてはこちらでも詳しく記事を書いています→