妊娠中に歯茎が腫れたり出血したら、妊娠性歯肉炎の可能性があります。妊娠性歯肉炎の主症状や予防対策をわかりやすく説明します。
妊娠性歯肉炎になってしまうのは、歯と歯の間や歯茎の溝にプラークが残っていることが原因です。汚れが残っているほど妊娠性歯肉炎になりやすいのです。
歯にまつわる話では「プラーク」という単語もよく聞きます。プラークとは歯垢(しこう)と呼ばれる水分や細菌による粘着性のある物体のことです。歯の表面や歯茎との境目をさわってみてください。黄白色のネバネバがあればプラークが発生しているサインです。
食事のあとの食べかすが残ったまま8時間ほど放置すると、歯の衛生状態が悪化して細菌が増えます。これをきっかけに、歯の表面や溝に残った汚れはプラークとなります。
妊娠中の場合はプラークが歯肉を刺激して炎症を起こし、妊娠によるホルモン変化の影響も受けて妊娠性歯肉炎になります。一般的には、服用している薬の副作用でも歯肉炎が発生することがあります。詳しく原因を知るには歯科医の判断が必要です。
妊娠性歯肉炎の主な症状は歯肉(しにく)、つまり歯茎(はぐき)に炎症が起きている状態です。
歯の表面がネバネバして、つばも粘着性が強まります。特に唾液や飲料で口内が洗浄されていない起床時に強く感じます。
妊娠中は唾液が増える症状に悩む人もいますが、逆に唾液が減少して口内の自浄作用が弱まる人もいます。自浄作用が弱まると虫歯の原因菌も、口内に停滞しやすいのでネバネバは歯のトラブルの予兆だと考えてください。
妊娠性歯肉炎になると歯茎の一部がぷっくり腫れたり、歯磨きをしただけで歯茎から血が出ます。うがいをしたら血が出ていて、びっくりするのは出血していても痛みがないからです。痛みがないと我慢しやすいのも、歯肉炎が進行しやすい原因です。
妊娠中に歯がグラグラするのは、妊娠性歯肉炎によって歯茎が不健康な状態になっているサインです。妊娠中のホルモン変化も影響しています。
歯肉炎は悪化すると歯と歯茎の溝が5㎜以上空きます。「歯周ポケット」と呼ばれる溝に、食べかす汚れが溜まると虫歯を発生させる菌の隠れ家になってしまいます。
歯茎が痛くなるのは妊娠性歯肉炎が進行しているサインです。歯磨きブラシが歯茎に当たった時に痛みを感じると、隅々まで歯磨きしにくくなります。
歯茎の色もチェックしてみましょう。健康的な歯茎はピンク色をしています。妊娠性歯肉炎になると赤みが強くなりやすいです。ただ、歯茎の色が変化しただけでは初期段階で妊娠性歯肉炎に気づきにくいです。
妊娠性歯肉炎は妊娠ホルモンの影響もあるので、「妊娠性歯肉炎になった=不衛生にしている」とは言い切れません。妊娠中は歯や歯茎の健康が損なわれやすいと考えてみましょう。
妊娠初期のつわり期や、ホルモンの影響で食事に偏りが出ているときは食事時間がばらばらになったり、食事回数が増えがちです。食事回数が増えたり不規則になるほど、口内に食事の残りかすが溜まりやすくなることが心配です。
食事のたびに歯磨きすることが理想ですが、できないときは口内をゆすぐだけでも汚れが溜まるのを予防できます。マウスウォッシュに関しては、天然成分や歯科で購入することもおすすめです。
妊娠性歯肉炎を予防するためには唾液の分泌を促して、口内の自浄作用を活用することも効果的です。食事は飲み込まずによく噛んだほうが、唾液の分泌が促されます。
安定期に歯科チェック妊娠初期はつわり症状やホルモン変化の影響で外出もままならない人もいるでしょう。妊娠中期の安定期に入ったら、歯科検診で歯や歯茎の健康状態を診てもらいましょう。歯磨きでは落としきれない歯石を除去して、妊娠性歯肉炎の原因を除去してもらいます。
出産が近づくにつれて、歯科で仰向けになることが苦痛になったり、独特の消毒のにおいが気になります。安定期にはいって体調が落ち着いたら、はやめに予約を取ったほうが安心です。妊娠中であることを忘れずに伝えてください。