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妊娠中に読みたい絵本「キセキ」

キセキ

妊娠週&出産カウントダウンの設定

「キセキ」は、シンガーソングライターのMINMI(みんみ)が書いた詩を元に、作られた絵本です。副題は「今日ママに会いにいくよ」。「キセキ」の特徴は、産まれる前の赤ちゃんが、パパとママに向けて語っているところです。

パパやママから、お腹の赤ちゃんへ思う言葉は沢山ありますが、赤ちゃんがどう思っているのか考えたい時に読んでみてください。出産は自分だけの戦いではなく、赤ちゃんも頑張って乗り越える事なんだと思えます。

絵本は明るいタッチで、深刻な印象を受けないのに説得力があります。この絵本がMINMIさんの出産体験に基づいて描かれているからです。

実際に出産を体験したからこそわかる出産への恐怖や不安も、考え方1つで喜びや希望に変わるんだということを伝えています。

ちなみにMINMIさんは同タイトルで歌も作っています。これは、難病の子どもたちへのチャリティの一環で作られたそうですが、病気や立場に関係なく、妊娠や出産に関わっている時の心に響くメロディーです。

「キセキ」はカラフルな絵本

絵本に使われている色彩も多く、全体的にカラフルで温かくて明るい印象を受けます。著者はハワイ在住だからか、ポップで元気なイメージが前面に出ています。

絵本の挿絵で色から受ける印象は、普通の小説の挿絵から受ける印象よりも強いものです。絵本は、文章だけでは伝えきれないイメージを挿絵に託す方法があるからです。「キセキ」もイラストを通して、ママと赤ちゃんが生まれる前から繋がっていることを表現しています。

カラフルと言っても落ち着いた色彩も混ぜているので、色彩から攻撃的な印象はありません。例えばオレンジや明るい色を使っているページの背景が落ち着いた紺系統の色を使っています。

水色など冷たさをイメージする寒色を、温かさをイメージする暖色と組み合わせたり、色彩にも柔らかい印象を残してあります。子どもが産まれたあとは、よみ聞かせに利用すると、カラフルなイラストが喜ばれそうです。

キセキ

「キセキ」はロングセラー絵本

「キセキ」がロングセラーになっているのは、出産への実体験が説得力を増していたり、カラフルで親しみやすいイラストなど多々ありますが、なんといっても「痛み」に対する考え方ではないでしょうか。

これまでの出産をモチーフにした絵本では、「痛いけど大丈夫」「痛いけど頑張ろう」といったメッセージをよく見かけました。「キセキ」はちょっとだけ違う印象を受けます。

「キセキ」は、痛みに対して肯定的です。どんなに考えても痛みは消えるわけではないし、無痛になる絵本ではないのです。でも、痛さがあるからこそ赤ちゃんに出会える喜びがあるのです。

「キセキ」を読んだからって、無痛で出産できるわけではありません。でも、「痛み」と感じるものを「喜びや嬉しさ」に変えるなにかがあります。そんなところが従来の出産本と、一味違うところです。

「キセキ」を読んだ感想

「キセキ」は、痛みのないお産を説いているのではなく、「痛みはあるけど赤ちゃんと頑張ろう」と伝えているような印象を受けます。

「キセキ」は、マニュアルにとらわれずに自由な気持ちでお産に臨みたい人や、赤ちゃんと一緒に頑張ろうと考えている人の背中を押してくれる1冊です。

つわりや、切迫早産で安静にしていると、ゆったりした気持ちで出産を考える余裕がない時期もあります。本のように、ゆったりと構えられない時も妊娠中は多々あります。

でも、これから出産というときに再びこの絵本を読みなおすと、赤ちゃんが前向きにパパとママのもとに生まれてこようとする様子をイメージできるので、「自分ひとりで産むわけではない」と勇気が出ます。

特に「キセキ」をお勧めしたいのは、難しい単語や文章でマニュアル通りの出産本に興味のない人です。きっと実体験を通した文章で、出産をよりリアルにイメージできます。それが出産への勇気に繋がります。

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