e-妊娠top トピックス 喫煙と出生体重の関係

喫煙と出生体重の関係

赤ちゃんと手

妊娠週&出産カウントダウンの設定

妊娠中の喫煙に関して興味深い調査結果があります。環境省の発表によると、全国9000人超の子どもを対象とした大規模な全国調査で妊娠中に喫煙し続けた母親から生まれた赤ちゃんは、喫煙しない母親の子と比べて出生時の体重が100g以上少ないとわかったそうです。

出生時の低体重

出生時の赤ちゃんの低体重には、様々な原因が考えられます。一概になにが原因だと特定しにくく、低体重であってもその後の成長が問題ないケースもあるなか、喫煙と低体重の関係性が調査結果としてはっきり現れたのは今回が初めてです。

今回の調査対象は2011年にうまれた9369人の赤ちゃんとその親のデータが分析されました。(参考1)

エコチル調査とは、環境省が行っている日本全国で10万組の親子が参加する大規模な疫学調査です。具体的には赤ちゃんがお腹にいるときから13歳を迎えるまで、定期的な健康状態を調べます。

追跡していくことで取り巻く環境が、子供の成長にどんな影響を与えているのか、特に化学物質など環境中の有害物が成長に与える影響を懸念しています。「エコチル」とは「エコロジー」と「チルドレン」を組み合わせたものです。(参考2)

妊娠初期の喫煙

妊娠すると妊婦自身と赤ちゃんのことを考えて禁煙する人もいます。ただ禁煙といっても簡単にできるものではありません。そのため、心配ではあるものの急な禁煙ができずに喫煙本数を減らすことから始める人もいます。

妊娠初期にスパッとやめられない妊婦さんには耳の痛い話ですが、妊娠初期こそ赤ちゃんが細胞や器官を生成する大切な時期。目には見えませんが、お腹の中で赤ちゃんが大切な成長をしている時期です。このときこそ喫煙を避けてほしいのです。

喫煙の影響

具体的に妊娠中のママが喫煙を続けることで考えられている、症状を説明します。同じ喫煙量でも母体や赤ちゃんへの影響は人それぞれです。誰かが問題なく出産したからといって、タバコの影響が絶対にないとは言い切れません。

タバコに含まれるニコチンや酸化炭素は血管を収縮させたり、血液中の酸素濃度を低くする働きがあります。血液の循環が悪くなれば、血液にのって体全体に行きわたるはずの酸素も足りなくなってしまいます。ママ自身も子宮収縮や頭がぼーっとしたり疲れやすくなる症状が出る場合があります。

喫煙の影響で知ってほしいのは、ママだけではなくお腹の赤ちゃんにまで影響を及ぼしかねないことです。血液が行き届かなくなるということは、赤ちゃんと母体を繋いでいる胎盤にも酸素や栄養素をしっかり送り届けることができなくなる可能性があるのです。

赤ちゃんはママから酸素や栄養素を受け取るとき、食材や酸素そのものを直接受け取っているのではありません。胎盤(たいばん)というフィルターを通過させて血液に含ませて届けています。喫煙によってママと赤ちゃんを繋ぐ胎盤機能が低下したら、どんなに栄養のある食生活を心がけていても、その恩恵を100%赤ちゃんに届けることが困難になりかねません。

もしも赤ちゃんに喫煙の影響が及ぶとしたら、低体重だけではなく流産や早産、前置胎盤トラブルも多くなることを忘れないでください。

副流煙も要注意

副流煙(ふくりゅうえん)とはタバコの煙です。もしも家族や周囲の人が喫煙者で、妊婦のそばで喫煙を続けている場合は副流煙に気をつけましょう。

副流煙の厄介なところは、妊婦自身が喫煙していなくても副流煙を吸い込むことで喫煙と同じような状況をつくってしまうことです。副流煙には有害物質が多く含まれています。もしも家族や周囲で喫煙している人がいる場合は、副流煙について、是非知ってほしいです。ママ自身も禁煙席を利用するなど、副流煙を吸い込まないように心がけてください。

妊娠中はお腹が大きく目立つようにならないと、妊婦として意識されないこともあり、周囲の喫煙状況に悩むプレママも多くいます。妊娠を強調して優遇されたいわけではありませんが、赤ちゃんの健康を考えると周囲の協力は必要不可欠です。(参考3)

禁煙は難しい

妊娠したからといって簡単に禁煙できたら、誰も喫煙と出生体重に注目はしません。これだけ大規模な調査で注目されているのは、それだけ妊婦自身や周囲が簡単に禁煙できない背景があるからだと考えられます。

喫煙者が禁煙をすると、飲酒やカフェイン摂取量が増えがちです。ところが妊娠中はタバコと同じようにアルコールやカフェインの摂取も控えることがすすめられています。そうなると妊娠中の禁煙は、より強い意志とサポートが必要です。

妊娠期間は約10ヶ月ほどです。悩んでいたり禁煙がスムーズに進まないあいだにも、お腹の赤ちゃんの細胞や器官はどんどん成長します。1人で時間をかけてしまうよりは、妊婦検診や禁煙外来(妊娠中と伝えたうえで)で相談することをおすすめします。

参考1:朝日新聞デジタル母が喫煙者、赤ちゃんが低体重で出生 環境省調査

参考2:環境省エコチル調査

参考3:先輩プレママのQ&A「タバコの副流煙(受動喫煙)」

\ Pic Up /