妊娠22週~37週未満で出産することを早産といいます。妊娠22週以前に妊娠が中断してしまうことを流産といい、37週以降を正期産と呼びます。
流産と早産の違い(妊娠22週の境)は、もし赤ちゃんが母体から出てきても生存できる可能性が出てくるからです。流産確率が全妊婦さんの15%程度なのに対して、早産確率は5%程度とされています。
生理のような重い腹痛があり下痢や吐き気、消化不良、めまいなどを伴うこともあります。また「おりもの」にピンクや茶色の出血が混じったり、「おしるし」が出ることもあります。骨盤内や太ももの痛みや圧迫感、いつもと違う腰痛なども起きるときがあります。
また超音波検査で子宮頸管を調べると切迫早産がわかることもあります。子宮頸管が薄くなっていたり開いていたり、短くなっていると切迫早産と診断されます。頸管粘液中の「顆粒球エラスターゼ」は、切迫早産発症の 1~ 2 週間前になると上昇することが知られています。
早産の兆候の最終段階では陣痛が始まります。不規則だったおなかの張りが規則正しく頻繁に起こるようになり、卵幕が破れ羊水が漏れるようになります(破水)。
子宮収縮、子宮頸管が開く、子宮頸管が短くなるなどの早産の兆候があることです。安静と治療によって妊娠継続が可能な状態で、必要であれば子宮収縮抑制剤や点滴をしていくことになります。
どうしても予防できない早産もありますが、多くはそのリスクを減らせます。まず妊娠後期に入ったら今までよりも無理をしてはいけません。また質の高い妊婦ケアを受けることが大切です。
過労やストレスに特に注意して、食生活にも気を使います。医師からもらったアドバイスを慎んで守り、自分と赤ちゃんの身体を労わってあげることが何より大切です。
もちろんタバコやアルコールは一切控えます。また尿を我慢していると膀胱が炎症を起こし、子宮収縮を誘発することがあります。早産のきっかけは「炎症」であることが多いのです。
早産で1番問題になるのは、赤ちゃんがまだ「未熟」ということです。皮膚やからだの臓器、肺呼吸や免疫性などが、完成される前に母体から放出されてしまうわけです。
その問題を少しでも軽減させるのは「1日でも子宮内で留めておく」ということです。何より安静を心がけ必要なら入院をします。
子宮収縮抑制剤やステロイド、抗生物質を処方されることもあるでしょう。生まれてくる新生児のために、高度な医療器具と治療体制が整っている施設(NICU、新生児集中治療室)を探します。
未熟児で生まれてきた赤ちゃんは、NICUの保育器の中で集中治療を受けていくことになります。現代医学の進歩で、例え早産した場合でも赤ちゃんが元気に育つ可能性は、驚くほど高くなりました。
人の活動は通常2本足で立っていて、子宮口は下を向いています。そのため赤ちゃんが大きくなり羊水が増えれば、それでけで子宮口に重量の負担がかかります。
さらに子宮頸管の炎症が起こると、子宮収縮やサイトカインによる頸管の熟化で、早産が起きやすくなります。
4本足の動物は赤ちゃんの重みは「人間と同じ真下」にあるのに対し、子宮口はおしりのほう、つまり横を向いているのです。