
10月23日、マタニティハラスメント、いわゆる「マタハラ問題」を取り扱った上告審判決で原告敗訴だった2審判決を破棄して審理を差し戻しました。これにより「妊娠が理由で降格は原則違法」という図式が確立される可能性があり、対応が遅れがちだった中小企業などに影響を与えるかもしれません。
マタニティハラスメントとは妊娠や出産を理由に、職場から解雇されたり、本人の意思に反して異動、立場の降格などの不利益を与えられること。精神的や肉体的な嫌がらせも含まれています。
*ハラスメント(Harassment)とは立場的なものを利用して嫌がらせや不利益などを与えることで、マタハラは、セクハラ、パワハラと並んで働く女性を悩ませる3大ハラスメントと言われています。
10年勤務の管理職の副主任が妊娠して軽い業務への転換を申し出る。
新しい部署では副主任から降格、そして復職後も職位復帰できず。
男女雇用機会均等法では
「妊娠中の負担の軽い業務への異動などを契機に降格は原則違法」
例外として「本人の同意による降格」「雇用側の特段の事情」なら違法ではない。
裁判では勤務側は「本人が降格を承認した」、
女性側は「役職を外させると聞いてない」と争う。
最高裁→
「職場は不十分な説明、妊娠前の職位と復職後が不利益になるか比較」
原告が敗訴だった2審判決を破棄する。
第8条
妊娠、出産、産休を理由に解雇できない。
第22条
保健指導又は健康診査を受けるために時間を確保しなければならない。
第23条
保健指導に基づく勤務時間の変更、勤務の軽減をしなければならない。
今回のマタハラのケースでは「本人が降格を承認したのか、しないか」が1番の争点であって、それについて最高裁が判断したにすぎません。
マタハラの本質的な問題とはなんでしょうか?
マタハラの相談は現在では年間に3千件を超えるそうです。とくに人員のやりくりが厳しい中小企業に目立ち、解雇や契約打ち切り、自主退職への誘導のほか、「妊娠してるからって特別扱い?」などの心無い言葉を浴びせられることも多いようです。
妊娠中には実際に「人に迷惑をかけてしまうこと」が多いでしょう。小さい職場だとなおさら、もともとみんなで仕事をカバーしている状況で、さらに妊婦さんを優先していくことが難しいかもしれません。
そんな中で妊婦さんが自分の権利を主張していくことができるのか・・
今回の最高裁の決定はマタニティハラスメント問題に一石を投じました。もし今後に雇用側が出産適齢期の女性を敬遠するようになれば「女性が働きながら安心して出産できる環境」はますます遠ざかるでしょう。
少子化対策を目標に掲げている政府は早急な法の整備が必要になるかもしれません。
幸いにも多くの大企業では女性の妊娠や出産、育休後の復職支援が進んでいます。産休や育休が仕事にマイナスにならないように専門セミナーの開催や特別制度などで優秀な人材を囲い込むことが、結局は会社の利益につながると考えるからです。
女性が働きながら安心して出産できるように、また周りにいる仕事仲間がそれを喜んでサポートできるような環境になることを切に願います。
参考:読売新聞、日経新聞
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